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46億年の地球の歴史の中で、今日の自然環境の基礎をつくったのが27億年前と言われるストロマライトの出現です。ストロマライトとは、原始的な細菌である藍藻類が水底の砂泥の中で定着し、何層にもわたって積み重なって岩石となったもののことで、この藍藻類が光合成を行い、酸素を水中に供給しました。生物界は、生命を保つために酸素を必要としない嫌気性生物から、酸素を必要とする好気性生物へと移行し、生物の進化と貝類が誕生する基盤ができました。貝の祖先が誕生したのは5億5千万年前頃と言われています。
貝類の祖先はミミズのような形をしており、ゴカイ類などの環形動物と共通の祖先です。4億5千万年前頃に急速に進化し7つの大きなグループに分かれました。 この頃、海中から放出された酸素はオゾン層を形成し、太陽からの有害な紫外線を防ぎ、水中の生きものが陸上でも生きていけるようになり、貝類の中の巻貝(腹足綱)だけが両生類と同じように上陸しました。カタツムリのことです。
現在、貝類は7つの綱(こう)に大分類されています。最も原始的なものが無板綱(むばんこう)で、多板綱(たばんこう)、単板綱(たんばんこう)、二枚貝綱(にまいがいこう)、掘足綱(くっそくこう)、頭足綱(とうそくこう)、腹足綱(ふくそくこう)の順に進化してきました。貝類の種数は、動物界では昆虫類につぐ多さで10万種以上が世界中の海、淡水、陸上の様々な環境で生息しています。イカ・タコ類、ウミウシ・アメフラシ、クリオネ、ナメクジなども貝の仲間です。
貝類には、海や川、池などの水中にいるもの、陸上にいるもの、この中間的な環境にいるものがあり、酸素の取り入れ方や食性(食べるもの、食べ方)、繁殖の仕方も多種多様です。まずは、貝類のからだの各部の呼び名を見てみましょう。海産や淡水産の巻貝、二枚貝、イカ・タコ類、陸貝(カタツムリ)によって呼び名も異なります。
種を保存するための繁殖パターンも多様で、オスとメスの性が完全に分かれている雌雄異体だけでなく両方の性を持っている雌雄同体のものもいます。また、受精方法も体外受精・体内受精の両パターンがあり、受精卵から稚貝(ちがい)になるまでの成長パターンも種類によって異なります。貝の一生を簡略化した図にまとめています。
貝類の食性はバラエティに富んでおり、肉食のもの、藻食のもの、プランクトンを濾過して食べるもの、有機物の泥を食べるもの(デトリタス食)、他の生物に寄生するもの、化学合成細菌と共生するものなど、5億5千万年という長い年月をかけてすみわけ、食べ分けを行っています。
ほとんどの貝類の動きはすばやくありませんので天敵もたくさんいます。哺乳類から鳥類、魚類、爬虫類、甲殻類、昆虫類、そして貝類からも狙われます。生物ごとに食べる種類は概ね限られますが、人間だけは、海産貝、淡水貝、陸貝と色々な種類を食べています。
貝類が誕生して約5億5千万年ですが、この間に地球に大気圏ができ、地殻変動による土地の隆起や沈降があり、海域や陸域も変化し続けています。貝類はこのような各時代、各地域の環境変化に順応することによって、5000mの高山から6000m近い深海まで広く世界中に分布することができたのです。山林や川、海などの自然環境の中だけではなく、田んぼ、畑、住宅の庭など身近な町中にも分布しています。
自然界の長い時間をかけた環境変化に比べ、人間が行う活動は短期間に自然環境を改変してしまいます。こうした急激な環境変化は、動きが遅く、行動範囲の狭い貝類に大きな影響を与えます。時には、種を絶滅させてしまうこともあります。どのような人間活動が、どんな種類の貝にどのような影響を与えるのか考えてみましょう。
「貝」は、遠い昔から様々な分野で人々のくらしを支えてくれています。
縄文時代からの「貝塚」としても知られように「食料」としての役割は欠かすことができません。また、古く中国などでは貨幣として使われたり、螺鈿(らでん)細工として工芸品にも重宝されています。
小学校の教科書でも意外なところで貝が取り上げられています。「貝へん」の付く漢字が、お金や経済と関係する意味を持っていることなども興味深いことです。
国語、生活科、理科、社会、工作、音楽など様々な教科で貝のことを取り上げています。
平成24年度より西宮市が採用している公立小学校の教科書から貝に関する記述を抽出してみました。